車両の説明
207系は、国鉄末期に10両編成1本だけが制作された少数形式であり、新製から廃車まで常磐緩行線で運用されていた。当時の国鉄では、1985年(昭和60年)から界磁添加励磁制御を採用した205系・211系を量産していたが、私鉄では既にVVVFインバータ制御を本格的に採用する動きが見られていたため、国鉄でもその試験を実施するための専用車両が制作されることになって開発されたのが207系900番台である。投入先として常磐緩行線が選ばれた背景には、1986年(昭和61年)11月1日ダイヤ改正で増発があり車両増備を必要としていたことに加えて、営団千代田線との相互直通運転を実施しているため要求される車両性能が特に高かったこと、電機子チョッパ制御の203系との性能比較が可能であったことが理由と言われている。一方、VVVFインバータ制御の試験搭載に関連した機器類以外の設計は、地下鉄直通に必要な前面貫通扉を設けた以外は当時量産されていた205系と共通化されていた。このような登場経緯や、常磐緩行線で車両増備を実施する必要がなかったことから207系は1編成のみの製造に留まり、203系や1999年(平成11年)登場の209系1000番台と共通運用とされたが、2009年(平成21年)にE233系2000番台が導入されたことで置き換えが実施され、翌2010年(平成22年)に廃車となった。203系より先の置き換えとなった背景には、1編成のみの存在で保守に難があったことが挙げられている。
編成記事一覧
900番台
クハ207形 | 編成 | 新製年/製造所 | 備考 |
クハ207-901 | 東マト71編成 | 1986/川重・東急 | 2010年除籍 |
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- 2020年1月22日:資料室掲載記事リニューアル作業実施