路線の説明
高度経済成長期に輸送力が逼迫した常磐線は、一部区間で複々線化が実施されることになった。1971年(昭和46年)4月20日ダイヤ改正では北千住駅-我孫子駅間の複々線化が完成し、緩行線については地下鉄千代田線との相互直通運転が開始された。地下鉄との直通運転に当たっては、専用車両の103系1000番台が開発されて10両編成16本が投入されたが、抵抗器からの排熱が原因の故障が多発したこと、排熱が原因で車内や駅の温度上昇を招くサービス悪化を招いたこと、営団地下鉄から乗り入れた6000系との電気使用量の差が大きく車両使用料を相殺しきれないことなど、多くの問題を抱えるに至った。このため、201系と同じ電機子チョッパ制御と回生ブレーキを採用し、営団6000系と同じアルミ車体をもつ203系が1982年(昭和57年)11月15日ダイヤ改正で登場した。同改正では複々線区間が取手駅まで延長しており、この時に導入された編成はその運用数増加分に充てられた。1984年(昭和59年)からは103系の置き換え用として203系の量産が開始され、103系の置き換えは1986年(昭和61年)に完了した。203系の新造が終わって間もなく、1986年(昭和61年)11月1日ダイヤ改正では常磐緩行線の増発が実施されたため、VVVFインバータ試作車の207系900番台が1編成配置されている。国鉄分割民営化でJR東日本に継承された後も、共に常磐緩行線専用形式の203系17編成と207系1編成という体制は変わらなかったが、1999年(平成11年)12月4日で増発が実施された際に13年ぶりに車両の新造が実施されることになり、209系1000番台が2編成投入された。
2009年(平成21年)には、1編成のみの存在で、かつ試作車のため保守面に問題のあった207系の置き換え用として、E233系2000番台が1編成投入されて、207系は同年12月に撤退した。E233系はその後も2010年(平成22年)から2011年(平成23年)にかけて17編成が投入されて203系の置き換えが実施された。この時点では209系は置き換え対象とならずにE233系と共通運用になっていたが、2016年(平成28年)3月26日ダイヤ改正で東京メトロ千代田線を介して小田急小田原線・多摩線との相互直通運転が開始されると、E233系は直通に対応したが209系は直通対応改造が実施されず、209系は小田急線に乗り入れない運用に限定して充当されるようになった。さらに、千代田線へのホームドア導入に当たって209系は他の形式とドアの位置が若干ずれていた(E233系2000番台はホームドア設置を見越して私鉄の標準規格に合わせていた)ことが問題となった。このため、2017年(平成29年)に置き換え用のE233系1編成が増備された。209系はE233系のホームドア対応改造工事中の予備車として用いるため直ちには撤退しなかったが、工事が完了した2018年(平成30年)に予備車の削減が実施されて2編成とも撤退した。以降は車両不足の際には小田急電鉄から借用することで対応していたが、2020年(令和2年)3月14日ダイヤ改正で運用数の削減が実施され、結果的に予備車の数が戻ることになった。
編成記事一覧
209系
900番台編成 |
新製年/製造所 |
撤退年 |
備考 |
東マト71編成 |
1986/川重・東急 |
2010 |
|
203系
編集履歴(記事ID:0003)
- 2023年5月14日:首都圏本部発足(2022年10月1日付)を反映
- 2020年1月22日:資料室掲載記事リニューアル作業実施