路線の説明
常磐線は日暮里駅から岩沼駅を結ぶ長距離路線であり、両端で東北本線に乗り入れて実際の運行形態としては上野駅から仙台駅を結ぶ路線として運行されていた。東京方面からは、1949年(昭和24年)6月1日に取手駅まで直流電化されていたものの、茨城県石岡市に所在する地磁気観測所の観測に支障を来すため、取手駅以北を直流電化とすることは難しい状況であった。しかし、地磁気への影響が少ない交流電化が実用化に至ったことで、取手駅以北は交流方式を採用することで電化することが可能となり、1961年(昭和36年)6月1日に勝田駅までが電化された。これに伴って直流区間と交流区間を直通する普通列車では交直流電車を運用することになったため、新設の勝田電車区に401系が配置された。電化区間はその後も徐々に延長され、1967年(昭和42年)8月20日に全線電化が達成された。途中の1965年(昭和40年)からは、401系の改良型の403系が投入された。1971年(昭和46年)からは415系の導入が開始された。415系は途中何度か改良を加えながらも国鉄分割民営化後の1991年(平成3年)まで製造が続き、401系は同年に引退した。
その後、常磐線の利用者が増加したことや、取手駅止まりとなっている快速電車の運転区間延長を望む意見があったことから、快速電車の運転区間を土浦駅まで延長するための交直流通勤型電車のE501系が開発され、1995年(平成7年)に量産先行車が登場した。1997年(平成9年)には量産車も登場し、基本編成、付属編成ともに4編成の体制となったものの、以降の増備は実施されなかった。しかし、2004年(平成16年)3月13日ダイヤ改正で普通列車の停車駅が見直され、同年10月1日ダイヤ改正から普通列車も取手駅以南では「快速」として案内されるようになるなど、中距離電車は徐々に快速電車化が進んでいった。
2005年(平成17年)からは、403系・415系の老朽取換用として、交直流一般型電車のE531系が登場した。403系・415系は近郊型の3扉車であったがE531系は4扉車であり、403系・415系は7両編成と4両編成を組み合わせるのが原則となっていたが、E531系は他の首都圏近郊路線やE501系と同様の基本10両編成と付属5両編成が用意された。当初は全車普通車となっていたが、2007年(平成19年)3月18日ダイヤ改正から基本編成には2両のグリーン車が連結されることになった(ダイヤ改正前に組み換えられた編成のグリーン車は、ダイヤ改正まで普通車扱いで無料開放された)。このダイヤ改正をもって403系・415系は、軽量ステンレス車体の415系1500番台を除いて全て営業運転から離脱したほか、E501系もグリーン車を連結していないため上野口運用から撤退した。上野口の運用から撤退した415系1500番台(4両編成18本)とE501系は、土浦駅以北と水戸線の運用に充当されるようになったが、415系1500番台からも一部が余剰廃車となっている。なお、このダイヤ改正で余剰となった415系のうち12両が、JR九州に譲渡されている。
2010年(平成22年)から2012年(平成24年)には、E501系の機器更新工事が実施され、改造工事予備車としてE531系の付属編成が2編成増備された(基本編成はグリーン車付きになるため、E501系10両編成の運用は付属編成2本を連結して代走した)。2014年(平成26年)からは、2015年(平成27年)3月14日ダイヤ改正で上野東京ラインが開業することに伴う運用数増加対応と、ローカル運用(常磐線土浦駅-竜田駅と水戸線全線)に残っていた415系1500番台の置き換え用としてE531系の量産が再開され、415系1500番台は2016年(平成28年)3月26日ダイヤ改正で全て引退した。2015年(平成27年)導入分のE531系は耐寒構造を強化した3000番台となっていたが、これは2017年(平成29年)10月14日から東北本線黒磯駅-白河駅間でE531系の運用が開始されることに対応するためのものであり、東北本線への送り込みと返却は水戸線の定期営業列車として運転される(東北本線小山駅-黒磯駅間は回送)。この東北本線関連運用はE531系3000番台のみで運転されるが、これ以外の運用については、0番台と3000番台が共通運用となっている。なお、同改正では上野東京ライン直通列車が増発されているため、0番台の増備も実施されている。
2020年(令和2年)3月14日ダイヤ改正では、東日本大震災と福島第一原発事故の影響で一部区間不通となっていた常磐線が全線復旧することに伴い、このダイヤ改正と同時に運転再開する富岡駅-浪江駅間と、分断されていたため仙台車両センター所属の交流電車(719系など)で運転されていた浪江駅-原ノ町駅間の運用にも充当されることになるため、運用数増加対応でE531系0番台が2編成増備されたほか、E531系既存車のワンマン運転対応工事と機器更新工事の予備車とするため更に4編成が増備された。同改正では東北本線黒磯駅-白河駅間でE531系3000番台によって運行される列車が全てワンマン化された。
2021年(令和3年)3月13日ダイヤ改正では水戸線の全列車がワンマン化された。これに先立ってE531系0番台の付属編成でもワンマン運転対応工事が実施され、同改正以降、水戸線ではワンマン運転に対応したE531系0・3000番台のみが営業運転に投入されている(臨時列車を除く)。
2023年(令和5年)3月18日ダイヤ改正では常磐線水戸駅-いわき駅間の一部列車がワンマン化された。これに伴ってE501系とE531系の間で運用の持ち換えがあり、E501系5両編成の運用数が減少したため、同年11月より1編成がイベント専用列車「E501 SAKIGAKE」として運行されている。
2024年(令和6年)3月16日ダイヤ改正では、E531系付属編成のワンマン運転対応工事が終了したことに伴い、予備車を削減する形でE501系5両編成の定期運用が消滅した。E501系は同年8月より廃車が開始された。
編成記事一覧
E531系
E501系
10両編成 | 新製年/製造所 | 撤退年 | 備考 |
都カツK701編成 | 1995/川崎重工 | ||
都カツK702編成 | 1997/川崎重工 | ||
都カツK703編成 | 1997/川崎重工 | ||
都カツK704編成 | 1997/東急車輛 | ||
5両編成 | 新製年/製造所 | 撤退年 | 備考 |
都カツK751編成 | 1995/東急車輛 | 2024 | |
都カツK752編成 | 1997/川崎重工 | ||
都カツK753編成 | 1997/川崎重工 | ||
都カツK754編成 | 1997/東急車輛 | E501 SAKIGAKE |
編集履歴(記事ID:0024)
- 2024年8月1日:都カツK751編成の廃車を反映。本文一部変更
- 2024年3月2日:都カツK409編成の編成組換を反映
- 2023年11月23日:都カツK754編成のイベント専用列車化を反映
- 2023年6月22日:首都圏本部への車両移管を反映
- 2023年3月18日:本文を加筆
- 2022年4月21日:水カツK409編成・K461編成の組換を反映
- 2022年1月23日:水カツK409編成・K461編成の組換を反映
- 2021年12月9日:水カツK409編成・K461編成の組換を反映
- 2021年8月5日:水カツK409編成・K461編成の組換を反映
- 2021年4月13日:水カツK409編成・K417編成の組換を反映
- 2020年3月14日:ダイヤ改正に伴う変更点を反映
- 2020年3月3日:水カツK482編成・K483編成の落成を反映
- 2020年2月4日:水カツK480編成・K481編成の落成を反映
- 2020年1月24日:資料室掲載記事リニューアル作業実施